婦人科豆知識

子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮の筋細胞(子宮平滑筋細胞)からできる良性腫瘍です。子宮筋腫はできる場所によって、漿膜下筋腫、筋層内筋腫、粘膜下筋腫などと呼ばれています。

子宮筋腫の原因

イラスト図

子宮筋腫の原因や発育についてはいまだにはっきりとはわかっていませんが、複数の遺伝子異常やホルモン、その他の因子が複雑に関与していると考えられています。特に卵巣から分泌される女性ホルモンは筋腫の発育に大きな影響を与えているため、妊娠中は子宮筋腫が増大する傾向がありますが、閉経後には子宮筋腫は萎縮していきます。

子宮筋腫の症状

子宮筋腫は大きさや数・できる場所などにより、その症状は様々です。小さな筋腫では無症状で経過することもありますが、筋腫が大きくなると、過多月経、月経困難症、下腹部腫瘤感、圧迫症状などの症状が見られるようになります。過多月経が長期に続く場合には、気づかないうちに重症の貧血になっていることもあります。また子宮筋腫は不妊症の原因になることもあります。

子宮筋腫の診断

子宮筋腫の診断は、婦人科的診察(内診・超音波検査)とMRIを主とする画像診断で行います。MRI検査は、子宮筋腫の正確な位置や大きさを診断するばかりでなく、悪性の平滑筋肉腫や子宮腺筋症、充実性卵巣腫瘍などを鑑別するのに有用です。

子宮筋腫の治療

(1)どういう場合に治療が必要か?

無症状で生活に支障をきたしていない場合は、必ずしも治療が必要というわけではありません。

子宮筋腫の治療が必要になるのは、悪性の可能性が疑われる場合、過多月経や月経困難症などの自覚症状が強く日常生活に支障をきたしている場合、重症貧血を合併している場合、それに挙児を希望していて、子宮筋腫が妊娠・出産に支障をきたす可能性が考えられる場合などです。

無症状の場合でも、子宮筋腫が成人頭大以上の大きさになると、静脈血栓塞栓症の危険性が増大すると言われていますので、あまりに大きい筋腫の場合は治療を考慮する必要があります。

(2)治療方法

根治的な治療方法は手術ですが、状況に応じて薬物療法で対応する場合もあります。手術療法には、子宮筋腫核出術と子宮全摘術、開腹手術と腹腔鏡手術があり、どのような組み合わせで行うかは個別に考えていく必要があります。