婦人科豆知識

過多月経

過多月経とは

月経の出血量は20~140g、平均50~60gで、140g以上の出血がある場合を過多月経といいます。しかし実際には出血量を測ることは困難ですので、日常生活に支障をきたすほど月経が多い場合を過多月経として取り扱っています。客観的な指標としては貧血の程度が用いられることが多く、月経時の出血量が多くて鉄欠乏性貧血に陥っている場合は治療の対象になります。

過多月経の原因

(1)婦人科疾患

子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症などが挙げられます。その他、子宮内膜ポリープ、子宮内膜増殖症、子宮内膜癌なども考える必要があります。

(2)血液疾患

先天性血液疾患、血小板減少症や血小板機能の異常、血液凝固異常などの血液疾患が原因になっていることがあります。血液凝固や血小板機能を抑制する薬剤の使用も一因になります。

(3)本態性過多月経

明らかな原因疾患が見つからない場合の過多月経です。子宮内膜組織での止血機構に異常があるのではないかと考えられていますが詳細はまだよくわかっていません。

過多月経がある場合は、以上のような疾患を鑑別するために、婦人科的診察(内診・超音波検査)、子宮癌検診(特に子宮体癌検診)、血液検査などが行われます。

過多月経の治療

婦人科疾患や血液疾患がある場合は基礎疾患の治療が優先されますが、本態性過多月経の場合は以下のような治療が行われます。

(1)ホルモン療法

エストロゲン製剤、プロゲスチン製剤、エストロゲン・プロゲスチン配合薬などが用いられます。過多月経が長期に続いている場合は、低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤(LEP製剤)も有効です(ただし過多月経には保険適用はありません)。

(2)止血剤(トラネキサム酸)

子宮内膜の止血機構の異常を改善することが期待されますが、効果はあまり強くありません。

(3)子宮内黄体ホルモン放出システム(商品名:ミレナ)

イラスト図

子宮内に装着することで局所的に黄体ホルモンが作用し、子宮内膜の増殖を抑え、月経量が減少します。全身的な副作用が少なく、合併症のある方でも比較的安心して使用することができます。2014年には過多月経に対して保険適用が認められました。

(4)子宮内膜掻把術

薬物療法が無効だったり使用できない場合に行なわれます。子宮筋腫などの合併がない場合には大変有効な治療法です。

(5)その他

妊娠の希望がない場合は、子宮内膜焼灼(子宮内膜アブレーション)、子宮摘出、子宮動脈塞栓術なども選択肢になります。