婦人科豆知識

子宮頚がんと子宮頚がん予防ワクチン

子宮頚がんについて

子宮頚がんは子宮の入り口にできる癌で、性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主な原因であることがわかっています。HPVの感染は、性交渉の経験がある女性のほとんどが一生に一度は経験するといわれており、決して珍しいものではありません。HPVに感染しても、多くの場合ウィルスは自然に排除されますが、数年から数十年にわたって感染が持続した場合に癌になる可能性があるといわれています。日本では、子宮頚がんを発症する女性は年間10,000人前後、子宮頚がんで亡くなる方は年間3,000人前後と報告されています。発症は20代から増加し、40代にピークがありますが、子宮頚がんの前がん状態である子宮頚部異型上皮は20~30代に多く見られています。子宮頚がんは進行するとおりものや不正出血などの症状が見られますが、初期のころには自覚症状が少なく、診断がついた時には子宮摘出が必要になることが少なくありません。またHPVは子宮頚がん以外にも、腟癌や外陰癌、尖圭コンジローマなどの原因になります。

子宮頚がん予防ワクチン

子宮頚がんがHPVの感染によっておこることが明らかになってから、これを予防するためのワクチンが開発されました。ワクチン接種により、体内でHPVに対する抗体ができて感染を予防します。現在(2022年1月)、日本で使用可能な子宮頸がんワクチンは3種類あります。いずれのワクチンもウィルスの遺伝子は含まれていませんので、ワクチン接種によってウィルスに感染することはありません。ワクチンは接種後の感染を予防しますが、既に感染しているウィルスを排除したり、子宮頚がんや異型上皮を改善する効果はありません。従って性交経験の前に接種するとより効果的です。またワクチンは子宮頚がんを100%予防するものではありませんので、接種後も定期的に子宮頚がん検診を受けることをお勧めします。

子宮頚がん予防ワクチンの種類と特徴

  サーバリックス ガーダシル シルガード9
ワクチンの
種類
2価 4価 9価
予防可能な
HPV型
16,18 6,11,16,18 6,11,16,18,31,33,45,
52,58
子宮頚がん
予防効果
60~70% 80~90%
接種
スケジュール
①初回
②初回から1か月後
③初回から6か月後
①初回
②初回から2か月後
③初回から6か月後
①初回
②初回から2か月後
③初回から6か月後
ワクチンの
位置づけ
定期接種・任意接種 任意接種
公費補助 あり

(小学校6年~高校1年相当の年度の間)

なし

サーバリックス

ワクチンの種類 2価
予防可能なHPV型 16,18
子宮頚がん予防効果 60~70%
接種スケジュール ①初回
②初回から1か月後
③初回から6か月後
ワクチンの位置づけ 定期接種・任意接種
公費補助 あり(小学校6年~高校1年相当の年度の間)

ガーダシル

ワクチンの種類 4価
予防可能なHPV型 6,11,16,18
子宮頚がん予防効果 60~70%
接種スケジュール ①初回
②初回から2か月後
③初回から6か月後
ワクチンの位置づけ 定期接種・任意接種
公費補助 あり(小学校6年~高校1年相当の年度の間)

シルガード9

ワクチンの種類 9価
予防可能なHPV型 6,11,16,18,31,33,45,52,58
子宮頚がん予防効果 80~90%
接種スケジュール ①初回
②初回から2か月後
③初回から6か月後
ワクチンの位置づけ 任意接種
公費補助 なし

HPVワクチン接種後の副反応は注射部位の痛みや腫れ、頭痛、発熱、手足の痛みや関節痛、しびれなど他のワクチン接種にもみられるようなものがほとんどですが、過去に、①知覚に関する症状、②運動に関する症状、③自律神経等に関する症状、④認知機能に関する症状など多様な症状が出現したことが報告されています。これらの症状については、現在もワクチンとの因果関係は証明されていません。また、稀には、アナフィラキシーやギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎、複合性局所疼痛症候群など重い症状の報告もあります。現在では、ワクチン接種後に何らかの症状が現れた方のための診療相談窓口がすべての都道府県に設置され、必要に応じて専門医に繋げる体制も整備されています。

当院で子宮頚がん予防ワクチンの接種をご希望の方へ

当院では子宮頚がん予防ワクチンの接種を行っています。サーバリックス・ガーダシルについては、自治体が行う定期接種も受け付けていますのでご利用ください。それぞれのワクチンの価格等は以下のとおりです。

  サーバリックス/ガーダシル シルガード9
接種対象

・定期接種(小学校6年~高校1年相当の女性)

・任意接種(定期接種対象者を除く9歳以上の女性)

・任意接種のみ
(9歳以上の女性)
公費補助 あり(定期接種は無料) なし
価格
(消費税込)
1回19,800円 1回33,000円
持ち物

・自治体から送られてくる予診票

・可能なら母子手帳

・スマホ、またはタブレット

・可能なら母子手帳

その他 安全性モニタリングのため、「ワクチンQダイアリー」による全例登録を行います。

サーバリックス/ガーダシル

接種対象

・定期接種(小学校6年~高校1年相当の女性)

・任意接種(定期接種対象者を除く9歳以上の女性)

公費補助 あり(定期接種は無料)
価格(消費税込) 1回19,800円
持ち物

・自治体から送られてくる予診票

・可能なら母子手帳

シルガード9

接種対象 ・任意接種のみ
(9歳以上の女性)
公費補助 なし
価格(消費税込) 1回33,000円
持ち物

・スマホ、またはタブレット

・可能なら母子手帳

その他 安全性モニタリングのため、「ワクチンQダイアリー」による全例登録を行います。

その他

子宮頚がん予防ワクチンは、2013年4月に予防接種法に基づく定期接種になりましたが、その後、接種後の副反応(接種部位以外の部位でおこる広範な痛みの症状など)についての情報提供が十分にできないという理由で2013年6月に積極的な接種勧奨が差し控えられ、最近に至るまでこの状態が続いていました。しかし、2021年11月の専門家会議において、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められ、2022年4月から積極的勧奨が再開されることになりました。そしてこの間に公費での接種機会を逃した方に対しては、再度接種の機会が得られるよう検討が進められています。